確定拠出年金は,年金なんだから調停において年金分割の対象になるようにも思いますが,年金分割の対象にはならないようです。しかし,離婚時の財産分割の対象にはなるのでご安心下さい。

但し,財産分与の対象になるからといって,今ある金額を半分にして妻に支払いなさいと命じることにはなりません。不動産や預貯金の財産分与とは性格が異なるので,違った分与方法をとることになります。

すなわち,ある裁判例(名古屋高等裁判所 平成21年5月28日判決)は,確定拠出年金について次のように判断しました。確定拠出年金は定年退職時に始めて現実化する財産です。このため,定年まで期間がある場合(例えば退職が15年後になるなど)には,別居した時点での確定拠出年金の価値を算出するは難しいことになります。これについては退職金について考えれば理解がしやすくなります。例えば,会社に退職金規程がある場合,退職時に退職金が支払われることはおそらく間違いないでしょう。でも,15年後に退職金が一体いくら支払われるか,それまでにいろいろなことがあるでしょうからよく分からないのが現実です。それなのに,出るはずの退職金を予想して夫婦半分にし,離婚時に夫から妻に支払わせるのはやはり難しいのです。このことを法律用語で言い換えると,退職金や確定拠出年金は清算的財産分与の対象にはなりずらいということです(但し,退職を間近に控えている場合には,対象になります)

そこで,この判例は,退職金や確定拠出年金については,今金額がある程度判明していても直接これを半分ににて支払わせることはしませんでした。しかし,確定拠出年金があるのに,全く考慮しないのは酷な結果が生じる可能性があります。そこで,裁判所は,今後妻が生活していくために必要な金員を財産分与として支払うよう命じて,その一要素として確定拠出年金の金額を考慮することとしました。

このように,裁判所は確定拠出年金の金額を直ちに財産分与の対象とすることはしませんでしたが,確定拠出年金の存在を考慮しながら財産分与の総額を決定しました。こうして,夫と妻の双方の間の公平を図ったと考えればいいと思います。

※確定拠出年金は一時脱退金を受領できる場合もありますので,財産分与を検討する場合,確認してみて下さい。